ホクロか皮膚がんか:専門医に聞く重要な違いと見分け方
皮膚に現れるホクロと皮膚がんは、見た目が似ていることがあり、区別が難しい場合があります。本記事では、東京医科大学八王子医療センターの梅林芳弘教授に、両者の重要な違いと見分け方のポイントを伺いました。
ホクロの基本知識
医学的定義
- 色素性母斑と呼ばれる良性腫瘍
- 母斑細胞の集まり
- 多くの場合は良性
見分けが必要な皮膚がんの種類
- メラノーマ(悪性黒色腫)
- 基底細胞がん
皮膚がんを疑う3つの警告サイン
1. 発生時期
- 生まれつきのホクロは通常安全
- 中年以降の新規発生は要注意
- 年齢が高いほどリスク増加
- 30代発生より60代発生の方がリスク大
2. 形状変化
- 急激な変化は要注意
- 盛り上がりの出現
- 急速な大きさの変化
3. サイズ
- 直径6~7mm以上は要注意
- 新規でも小さければ比較的安全
- 特に手足の指や足裏は注意
専門医による診断の重要性
診断方法
- 視診・触診による基本検査
- ダーモスコープによる詳細観察
- 色の濃淡の専門的判断
追加の注意点
- 色ムラの存在
- 専門家による判別の必要性
- 定期的な経過観察の重要性
いつ皮膚科を受診すべきか
受診が推奨される場合
- 上記3つの警告サインがある
- 色ムラが気になる
- 形状に不安がある
受診の意義
- 早期発見・早期治療が可能
- 専門的な判断による安心
- 定期的な経過観察の開始
まとめ
ホクロと皮膚がんの見分けには、発生時期、形状変化、サイズの3つが重要なポイントとなります。ただし、これらの条件に当てはまらなくても皮膚がんの可能性は否定できません。不安がある場合は、躊躇せず皮膚科専門医の診察を受けることをお勧めします。
用語解説:
- 色素性母斑:メラニン色素を含む細胞が集まってできた良性の皮膚病変。一般的にホクロと呼ばれる。
- メラノーマ:色素細胞から発生する悪性の皮膚がん。早期発見が重要。
- ダーモスコープ:皮膚病変を拡大観察するための医療機器。表面構造や色調の詳細な観察が可能。