肺腺がん治療に新たな道筋! 国立がん研究センターが革新的な解析手法を開発
肺腺がん患者の約3割で有効な治療法が見つかっていない
肺腺がんは、肺がんの中でもっとも多く見られるタイプのがんで、近年患者数も増加傾向にあります。しかし、EGFRやKRASなどの遺伝子変異が原因となる「ドライバー遺伝子陽性」の肺腺がんに対しては、分子標的治療(抗がん剤)という有効な治療法が存在します。
一方、肺腺がん患者の約3割は、これらのドライバー遺伝子変異が見つからず、分子標的治療を受けることができません。このような患者さんにとって、新たな治療法の開発が急務となっています。
そこで今回期待できると言われている方法を下記でお伝えしています。
国立がん研究センターが開発した革新的な解析手法
国立がん研究センターは、この課題解決に向けて、全ゲノムシークエンスを用いた新たな解析手法を開発しました。この手法は、従来の解析方法では見逃されていた遺伝子異常を発見することが可能で、ドライバー遺伝子陰性肺腺がんの新たな治療標的の発見に繋がるものと期待されています。
研究のポイント
- スーパーエンハンサーとゲノム構造異常に着目:従来の解析方法では捉えることが難しかった、遺伝子発現を強く促進する「スーパーエンハンサー」と、染色体の構造異常である「ゲノム構造異常」に着目しました。
- ロボティクス技術を活用した大規模解析を実現:ヒューマノイドロボットを用いることで、再現性が高く効率的な大規模な解析を実現しました。
研究成果
- ドライバー遺伝子陰性肺腺がんの約40%でスーパーエンハンサーとゲノム構造異常が共存していることが判明しました。
- HER2やEGFRなどの既知のがん遺伝子に加え、FRS2、CAV2、FGF3、FGF4、FGF19などの遺伝子が、肺がんの原因遺伝子として機能する可能性が示唆されました。
- 特定の遺伝子群が肺腺がんの進行や治療応答に影響を与えることが示唆されました。
今後の展望
今回の研究成果は、ドライバー遺伝子陰性肺腺がんの新たな治療標的の発見に繋がるだけでなく、肺腺がんの診断や予後予測の精度向上にも貢献することが期待されます。
国立がん研究センターは、今後もこの研究をさらに発展させ、肺腺がん患者さんの治療法の更なる進歩を目指していきます。
今後さらにデータが収集され、利用されていくと全ての肺腺がん患者の治療方法が見つかってくるのかもしれません。
海外の技術だけでなく、日本の技術にも期待です。