大腸がん患者の治療、新たなステージへ

大腸がん患者の治療選択肢が、大きく広がろうとしています。この度、理研ジェネシス株式会社と東北大学は共同開発した、世界初のDNAメチル化検査キット「OncoGuide™ EpiLight™メチル化検出キット」の国内販売が開始されました

大腸がん患者数の増加と課題

国立がん研究センターの調査によると、大腸がんの患者数は年々増加しており、2020年には約15万6千人に達しています。一方、死亡者数は年間約5万2千人となり、女性のがん部位別死亡者数としてはトップの深刻な状況です。

大腸がん治療では、がんの原因遺伝子ごとに作用する分子標的薬(抗がん剤)が注目されています。しかし、これらの薬はすべての患者に効果があるわけではなく、効果が期待できる患者を事前に選別することが重要です。

治療効果を予測する新たな仕組み

東北大学と理研ジェネシスが共同開発した「OncoGuide™ EpiLight™メチル化検出キット」は、大腸がん患者のDNAメチル化状態を調べることで、分子標的薬の効果を予測する世界初の検査キットです。

OncoGuide™ EpiLight™メチル化検出キットの仕組み

OncoGuide™ EpiLight™メチル化検出キットは、患者の腫瘍組織から採取したDNAを分析し、16領域のDNAメチル化状態を調べます。その結果に基づき、患者を以下の2つのグループに分類します。

  • 低メチル化グループ: 抗EGFR抗体薬が効果的である可能性が高いグループ
  • 高メチル化グループ: 抗EGFR抗体薬の効果が期待できない可能性が高いグループ

臨床試験で実証された高い精度

OncoGuide™ EpiLight™メチル化検出キットの有効性は、臨床試験で実証されています。

試験の結果、OncoGuide™ EpiLight™メチル化検出キットで低メチル化グループと判定された患者においては、抗EGFR抗体薬の無増悪生存期間が、高メチル化グループと判定された患者に比べて長くなったようです。

公的医療保険適用を目指す

理研ジェネシスは、OncoGuide™ EpiLight™メチル化検出キットの公的医療保険適用を目指しているようです。
公的保険適用が実現されれば、より多くの患者がこの検査を受けられるようになり、大腸がん治療のさらなる進歩が期待されます。

また、同社は今後も研究開発を進め、DNAメチル化検査の対象となるがんの種類や、検査の精度向上などに努めていく予定のようです。

まとめ

OncoGuide™ EpiLight™メチル化検出キットは、大腸がん患者の治療選択肢を大きく広げる革新的な技術です。この検査を活用することで、より効果的な治療を受けられる患者が増え、大腸がん患者の生存率向上に貢献することが期待されています。
今後に期待しましょう!