猛暑とがん治療、そして食中毒の危険性

近年、地球温暖化の影響で、猛暑日が当たり前のように続くようになりました。特に今年は、記録的な暑さが続き、人々の健康を脅かしています。暑さによる熱中症だけでなく、がん治療を受けている人にとっては、食中毒のリスクも高まることをご存知でしょうか。

猛暑と健康への影響

医学誌ランセット・プラネタリー・ヘルスの研究によると、温暖化が進めば、暑い季節の死亡率が増加する可能性が高いことが示されています。特に、基礎疾患を持つ人や高齢者、そしてがん治療を受けている人などは、暑さによる健康被害を受けやすいと言えます。

がん治療中の人と食中毒

がん治療、特に抗がん剤治療を受けている人は、免疫力が低下しているため、食中毒にかかりやすい状態にあります。抗がん剤は、がん細胞だけでなく、正常な細胞も攻撃するため、白血球の数も減少します。白血球は、体内に侵入した細菌やウイルスから体を守る重要な役割を担っているため、白血球が減少すると、感染症にかかりやすくなります。

特に注意したいのは、食中毒の原因菌の一つであるセレウス菌です。この菌は、高温多湿な環境で増殖しやすく、夏場に多く発生します。また、耐熱性のある毒素を産生するため、加熱調理しても完全に死滅しないことがあります。セレウス菌に汚染された食品を摂取すると、嘔吐や下痢などの症状を引き起こす「セレウス菌食中毒」が発生する可能性があります。

食中毒予防のポイント

がん治療中の人にとって、食中毒予防は非常に重要です。以下の点に注意しましょう。

  • 生ものは避ける: 食中毒の原因となる菌は、生肉や生魚、生卵などに多く含まれています。これらの食品は、十分に加熱調理して食べましょう。
  • 食品の保存温度を守る: 食品は、冷蔵庫で適切な温度に保ちましょう。特に夏場は、室温に長時間放置しないように注意が必要です。
  • 調理器具の衛生管理: 包丁やまな板などは、調理する前後にしっかりと洗い、消毒しましょう。
  • 手洗いを徹底する: 食材に触る前や食事の前には、必ず手を洗いましょう。
  • 免疫力を高める: バランスの取れた食事を心がけ、十分な睡眠をとり、ストレスを溜めないようにしましょう。

まとめ

猛暑は、私たちの健康を脅かすだけでなく、がん治療を受けている人にとっては、食中毒のリスクも高めることが分かりました。特に、抗がん剤治療中は、免疫力が低下しているため、細心の注意が必要です。

食中毒を防ぐためには、生ものを避け、食品の保存温度に気をつけ、手洗いを徹底するなど、基本的な衛生習慣を守ることが大切です。また、定期的に医師や看護師に相談し、適切なアドバイスを受けることも重要です。