健診結果の「PSA」ってなに? 前立腺がんとの関係性を解説
毎年一度は受けることになる健康診断。
その結果に「PSA」という項目を見かける人も多いのではないでしょうか。このPSAとは一体何を表しているのでしょうか?
今回は、PSA検査について詳しく解説していきます。
PSAとは?
PSA(前立腺特異抗原)とは、前立腺で作られる酵素の一種で、精液中に含まれています。
しかし、前立腺にがんが発生すると、このPSAが血液中に漏れ出てしまうため、血液中のPSA濃度を測定することで、前立腺がんの有無を推測することができます。
PSA検査の基準値と解釈
一般的に、PSAの基準値は4ng/mL以下とされています。しかし、4~10ng/mLはグレーゾーンと呼ばれ、がんの可能性も否定できません。10ng/mLを超えると、前立腺がんが強く疑われると言われています。
ただし、PSAの値は、年齢や前立腺の大きさによっても変動するため、一概に数値だけで判断することはできません。
また、PSAが高くても前立腺がんではない場合や、逆にPSAが低くても前立腺がんが見つかる場合もあります。
PSA検査を受けることの意味と注意点
PSA検査は、前立腺がんの早期発見に役立つスクリーニング検査ですが、いくつかの注意点があります。
- 過剰診断のリスク: PSA検査で陽性になった場合、必ずしも前立腺がんであるとは限りません。そのため、精密検査を受ける必要があり、その過程で、勃起不全などの副作用が出る可能性も否定できません。
- 死亡率の低いがん: 前立腺がんは、他の種類のがんに比べて死亡率が低く、進行が遅いのが特徴です。そのため、早期発見されたとしても、すぐに治療を開始する必要はなく、経過観察をする場合もあります。
- アメリカではPSA検査が禁止されているケースも: アメリカでは、PSA検査による過剰診断や治療の弊害を考慮し、一部の地域ではPSA検査が禁止されています。
PSA検査を受けるべきか迷ったら
PSA検査を受けるかどうかは、個人の価値観や医師との相談の上で決めるべきです。
- メリット: 前立腺がんの早期発見に繋がり、適切な治療を行うことで予後を改善できる可能性がある。
- デメリット: 過剰診断のリスク、精密検査による合併症のリスク、精神的な負担
もし、PSA検査を受けることに不安を感じている場合は、医師に相談し、自分の状況に合った検査方法を選ぶようにしましょう。
PSA検査をめぐる現状
PSA検査については、賛否両論があります。
- PSA検査の有効性を唱える意見: PSA検査により、前立腺がんの死亡率が低下したという研究結果もあり、日本泌尿器科学会は、PSA検査をもっと普及させるべきだという姿勢を取っています。
- PSA検査の必要性を疑問視する意見: 一方、PSA検査による過剰診断や治療の弊害を懸念し、PSA検査の必要性を疑問視する意見もあります。
まとめ
PSA検査は、前立腺がんの早期発見に役立つ検査ですが、万能ではありません。PSA検査の結果だけでなく、年齢、家族歴、症状などを総合的に判断し、医師とよく相談することが大切です。
日本の情報だけでなく、医療の進んでいるとされるアメリカや他の国の情報を知ることで、自分で納得できる選択が可能となるでしょう。
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